ラング・ド・シャ

口が悪い。ツイッターはummernow

帝国劇場に立つ彼とスーツを着た彼

舞祭組が始動して、気づけばもうすぐ二年。
これまで、私よりも何年も前から千賀のことを好きだった人が担降りしていく場面を見てきたんだけれど、その原因のほとんどはこれ。
もちろん、舞祭組始まりでジャニーズのファンになった人や、キスマイのファンになった人や、千賀担になった人だっていると思うし、それを否定する気はない。
ただ、あんなに千賀を、あんなにキスマイを好きだった人達が、降りてしまったことが悲しいなぁと思うし、そしてこの思いはこれからも舞祭組があり続ける限りはするんだろうなぁと思う。


舞祭組が結成されることが発表されたのは、2013年の10月。だから、ドリボが終わった直後。もちろん、ドリボを観劇している時、私はそれをまだ知らなかったわけで。だけど、その発表を聞いて、ドリボでの千賀の態度とかやり方とかが腑に落ちてしまった。
この年のドリボは初めての玉森座長で(えっ、あれ玉森座長って解釈でいいんよね?)、千賀は二番手ポジ(チャンプね。この年はボクシングじゃなくカーだったけどw)で。
春にあったツアーで、千賀の顔が死んでたから、私はほんと病んで病んで病みまくっててw これはこの人また今年もLA飛ぶかもしれないそんなんされたら死ぬわとか思ってて。そんな中で二番手を任されるとわかったドリボ。不安はあったけど、正直期待してた。だって、その前の年のドリボは、デビュー組であるにも関わらずどうでもいい役柄だったから。メインの役をやれるのがすごい嬉しかった。
予感は的中して、前の年よりおいしかったし、カッコイイ千賀くんたくさん見れた。歌声がキスマイのコンサートよりたくさん聞けたし、ダンスも千賀の好みのものだけやってた。玉森のライバル役であることが、まるで数年前玉森と3rdで歌った曲の情景と重なって嬉しかった。
だけど、二番手を演じる千賀が、私には飛ばしすぎに見えた。メラメラメラメラ。ギラギラしている人は好きだけれど、あまりにメラメラしているから、怖いって思った。それは見た目とか態度だけじゃく、言葉でもそうだった。色んな雑誌やパンフでやってやりまっせ!って気持ちが垣間見れて、時にはあえて野心なんて言葉を使ったね。それは大事なことだし、そういうところも好きだと思ってたけれど、もう一人の私はついていけないかもしれないとも思った。
その直後に、舞祭組結成の発表があった。

12月、デビューイベントとして、大阪のTSUTAYAで握手会が行われた。私はそこにいた。TSUTAYAの7階だったっけな。そして、たしか7回あったんだっけ。1回約30分ほど。デビュー曲歌って、少し喋って、握手って流れ。入ると狭い部屋でびっくりした。ステージとも言えんくらいのしょぼいステージが、床からの高さがたかがしれてる高さのステージが、目の前にあった。ああ、ここにあの人ら来るんですねって思いながら待機。スーツの千賀が現れるのを待ってる時間、私はすごく不安だった。
イベント前日、私は東京に遠征してた。はっしーを見に行ってた。はっしーに降りるつもりだった。それはやっぱり冒頭に書いた千賀担と同じ理由……ではない。
舞祭組のことは好きか嫌いかで聞かれたらたぶん嫌いなんだと思う。だけど、それは舞祭組のコンセプトが好みではないってのもあるけど、それよりも舞祭組ができたことで千賀の見たくないところが見えてきていたから。
どう想像しても、千賀は舞祭組を良いものと思っていないってわかったし、だけど、それを利用して今より目立っていこうとか今より仕事つかんでやろうという下心も見えた。それは大事なことだけど、こういう世界を生きるために必要だけれど、だからってそれを剥き出しにするのはアイドルとしてどうなんよって。私が頑張ってほしいのは、Kis-My-Ft2の千賀健永としてなのに、一人でダッシュしていこうってのは、どうなんよって。
時間になって、スーツを着た千賀が目の前に来た。当たり前だけど、死ぬほど近い。顔がカッコイイ。今更だけど改めて顔がカッコイイ。なんか化粧が濃いけど、でも、好み。千賀はいつもより髪の毛のセットが大人しかった。スーツに合わせようとしたのかな、思ったよりはぽわんぽわんじゃなかった。しかし、スーツが似合わない。死ぬほどスーツが似合わない。足が短いからなのか、頭がでかいからなのか、髪が茶色いからか、とにかく似合わない。のに、まるで似合ってるかのような顔をして、歌い始めた。
千賀のダンスはキレキレだった。ステージがしょぼいから、あまりのキレキレさに、激しさに、床の音さえ聞こえそうだった。マジでちょっと揺れてた。千賀の大きな目が真っ直ぐ前を見ていて、必死必死必死だった。私はそれをただ見つめることしかできなくて、びー!ゆー!とかの声も出せず(否定的だから出さなかったというよりあれは千賀を見るのにそれこそ私も必死で目以外の動きが無意識に停止していた)、その後、なんかちょっとMCがあって、MCではこれまでにないくらい千賀が喋る声(しかもいつもよりでかい)が聞こえて、それも私はほぼ無表情で見つめてたと思う。あっという間に握手の列に誘導された。
初めて触れた千賀の手は、べつにだった。それより、目や口の動きと左耳のピアスを覚えてる。私も私でまあまあチビなのに、見上げるってほど千賀は背がなくて。ああ、靴がぺたんこで髪も大人しいとこんなに小さいのかと思った。わりと目の前に大きな頭と大きな目と白い歯と光るピアスだった。可愛かった。だから、握手した後なんかすごく悲しくなった。こんな場所で、こんな衣装を着た千賀と、こんな簡単に握手したかったわけじゃないんだよって。千賀担じゃない(そしてよこにかみや担でもない)人にしっかり営業してるのも丸見えで、そうあるべきなんだろうけれど、そんな千賀をなんかなーって思ってしまった。
だけど、ツアーの時の死んだ顔じゃなくて、汗流して必死必死で、千賀が生きてるってことは嫌なくらい認識できた。なんだろう、頑張ってないより頑張ってくれてて、そのことに少しだけ安心した。だけど、でも、こんな気合い入ってて大丈夫かな。勢いだけで乗り切るには無理があるよってのも思った。


無理があるよと思ってから、もうすぐ二年。


去年、ドリボにボクシングが帰ってきて、千賀はチャンプ役を演じた。舞祭組の活動を良いと思っていない人々が千賀のチャンプを評価して、千賀の本来やりたいことはこっちだよねって言うのをたくさん聞きながら、私はほんとにこれでいいのかな?って思ってた。たしかに私はカッコイイ千賀が好きだ。前の年のカーよりボクシングの方がカッコイイし、チャンプってこれまでに演じてきた先輩が皆カッコよかったし、そんなのを千賀がやれるのはとても嬉しかった。千賀はもちろん嬉しそうで、楽しそうで、やれることをやって。でも、やれることをやってるだけじゃないのかな。いや、それでもカッコイイんだけどさ。なんか、もっともっと素敵な演技やダンスができそうな気が私はするよって、心の底で思ってた。

その数ヶ月後、舞祭組の千賀が番組でピアノを弾いた。千賀の小さな手が、短い指が音を奏でるのを、私は生放送でもないのに、右手と左手を組んで祈るように見てた。弾けなかった曲を弾けるようになるということ、やれなかったことをやれるようになる彼をテレビ越しに見た。
これ以来、彼は時々ピアノを弾くようになった。今も、キスマイのツアーでスーツを着た姿で弾いている。私は番協に行ったことがないから、ピアノを弾く千賀を見たのは今回のツアーが初めてだったんだけど、前を見てドヤドヤしてたり自分の世界に酔ってふわふわしている千賀が俯いて鍵盤と向き合う姿は小さく見えて、でも、やっぱりそれも千賀だった。

そんなツアーと並行してあった今年のドリボ。私はゆうまふうまマリちゃんのドリボを観に行けていないけれど、どうやらとてもよかったらしいということはツイッターなどの評判でわかった。きっとこういう声は玉森千賀宮田のところまで届いているだろうと思った。それが私は勝手に悔しくて、でも、その悔しさで彼らが今よりもっと素敵なもの見せてくれたらいいなってのも思った。
今年のドリボの千賀は、去年と変わらずカッコイイ自分に酔ってた。酔ってたけど、去年より全力さを感じた。演技が上手いかって聞かれるとたぶんべつにそこまでだし、ダンスがこれまでより更によかったかと聞かれるとそれもわかんない。でも、やれることをやったんじゃなくて、やれる限りやってくれたかなぁって思えた。ツアーと並行だし、他の仕事もあるし、休みなんてほぼ無かっただろう。どんどん痩せ、化粧は濃く、でも汗で落ちるから目の下のクマは見え、昼公演でも髭はわかりやすくて。少し見てて辛い見た目だったけど、でも、気持ちがこもってるのがわかって嬉しかった。


千賀は、まるでKis-My-Ft2の自分と、舞祭組の自分と、ドリボの自分とを、別の人格のように話すけれど、私にとってはどれも千賀で。どれが特別だなんて、私たちオタクが思うのは勝手だけど、あなたが言うのは、選ぶのは違うから、それだけはどうか勘違いしないでねと思う。私はべつに舞祭組のこと好きじゃないし関心も薄いけど、与えられた仕事から何か盗むことや得ることがないと、アイドルである意味がないと思うよ。
ドリボの千賀のことはすごく好き。カッコイイ。熱い熱い思いを秘めていて無茶しちゃうチャンプは、千賀に似ているなって思う。だけど、いつまでもここにばかりいちゃいられないなってのも思うから、どうかどこにいても熱い人でいてほしいなって感じた。
ここで終われないと思った。

とりあえず、まずは、大阪福岡東京ドーム公演とDREAM BOYSが無事に終わってほっとしてる。
ドームでは言っちゃまずい言葉言うしまずいファンサするし、帝劇では一か八かの演技だし、なんか名古屋公演の追加決まるし、舞祭組のアルバム発売も決まるし、ただの追っかけてるだけの私でも心身共にかなりエネルギー消費しちゃったよ。疲れた。二年前、このまま千賀のこと好きだと大変だろうなって思った予感は的中したみたいだね。忙しい。だけど、怒濤の一ヶ月の中で、どれだけ私が千賀を好きかってこと、どれだけ千賀に期待しているかってことがわかったよ。

帝国劇場で「生まれ変わってももう一度同じこの道を歩くだろう」と歌った千賀の姿が、私には本当に本当に大切で愛しいから、どうかそう思えるような道を千賀には歩いてほしい。
プライドが高くて熱くて真剣でだけどふわっとしてて犬のようで猫だったり。難しい人だなぁと思うんだけど、だから好きなのかも。何が足りないなんてもう言うだけ無駄だと思うし、わりと自分で気づいてほしいから遠回しにしか言わないよ。
忙しさの中で、どうか流されないで。今あなたがこの瞬間に立っている場所を大切にしてください。大切さを抱きしめられたら、きっと誰かや何かやもしくは自分のエネルギーが、より素敵な場所につれていってくれると思うよ。