ラング・ド・シャ

口が悪い。ツイッターはummernow

千賀くんが他人じゃなくなるまで

私が本格的なジャニオタ(現場に通うようになるジャニオタ)になって、この夏で10年になる。
飽き性な私が10年ジャニオタでいられたのは(いるはめになったのは)ジャニーズがそれだけ私にとって魅力的な存在だからで。
でも、担当と呼ぶ人に対しての熱は長続きできない。担当じゃない人(お気に入りの人)にはもっと長続きできない。そういうタイプだと言うのを自覚してる。

2005年錦戸担を名乗り、2006~2008春まで草野担、2007冬~2011夏まで照史担。2011秋~現在千賀担。2014年春~現在小瀧担。2013年は千賀よりはっしーの現場を数多く行ったし、2012春~2015春までかねうちのいるところにはあほすき入れると引くほど行ってて数えることすらできない。他にも好きな人やグループの現場には行くし、もう自分で言うけど自分の気の多さに呆れてる。もう少し休めよと思う。
でも、一番わからないのは私の中の千賀くんという存在だ。未だに千賀を降りてない自分が信じられない。だって、私にとって千賀は逃げ道でしかなかった。


照史担の頃からのオタク友達には、照史がデビューすれば出戻ると言ってた。照史を降りたのは、照史に飽きたわけじゃなくて、照史の周りの人が衝撃的な辞め方をして、それによって照史が無理して頑張るようになったのを全身から感じ取るようになったことが辛かったから。そんな顔見てられないと思った。担当になったのはおそらく2007年冬からだけど、2005年に一目惚れしてから(私にしては)随分長いこと好きで、もう永遠に担当でありたい存在だった。照史がもしあの時Jr.じゃなかったら、とか、あの子が辞めてなかったら、とか、思うことはたくさんある。

でも、たしかに私はその時、デビューしたばかりのキスマイの千賀くんに降りた。
キスマイは前から藤ヶ谷と千賀が好きだった。でも、松竹座が原点の自分はキスマイをライバル視していたのも事実で、あまり好きになりたくない対象ではあった。そんなところに、いくらデビューしたばかりだからって、なぜ降りるんだろうと、自分でも不思議だった。藤ヶ谷じゃなくて千賀に降りたのはほぼ直感だった。一回しか入らなかった3rdコンのDVDを見てると、気づけば千賀に夢中になってた。現場ではそこまでだったのに、DVDで間近で千賀の目から温度を感じ取って、ああ、好きだなぁと思った。
好きになり始めとは恐ろしいもので、あれだけ他G担が格差だなんちゃらとか言うてても気にならなかった。そんなのどうでもよかった。デビューしたんだからいいじゃんかと思っていたのも大きい。これから色んなことしていけるんだからいいじゃんと思ってた。自分はこれからたくさん色んな顔の千賀くんを知っていけると思うと嬉しかった。

自分が千賀くんに対して間違っていたと気づいたのはネバギバが発売された時。存在を消されてしまってるようなMVに私は絶句した。千賀くんはとんでもないところに放り込まれたんだと思った。私は千賀くんを消耗するように好きでいたんだということに気づいた。それはその方が私は楽しいんだろうけど千賀に対して失礼な気がした。逃げるという選択肢もあったけど、そうするにはまだ早い気がして、とりあえず向き合おうと決めた。

決めたけど、それから本気で降りたいという思いになったのは二回あった。とくに二回目は降りる気満々だったし、その時はもうこれ以上千賀を好きになれないと思ってしまった。

一回目はツアーで死んだ顔だった時。ほんと全然楽しそうじゃなくて。心がどこかよそにある感じで。たしかに私にとっても全然楽しいツアーじゃなかった。千賀の存在してる意味ってどこにあるんだろうかと思った。千賀のいいところ全然見れなくて、悔しかった。周りは引くほどたまたまたまたま時々がやがやきたやまみたいなファン層で、千賀が映る時の歓声の少なさ。なんで、って、思った。環境を恨んだ。でも、一番嫌だったのは、千賀が私のうちわを見て、ありがとうって感じで微笑んだこと。ありがとうなんて言われるために私はあなたのファンでいるんじゃない。私が勝手に好きになっただけなのに。まるで、私が、私たちファンがいなくなったら死んじゃうみたいな顔、してほしくなかった。まあ、そりゃLA行くわなぁとも思ったけど。

二回目は舞祭組がデビューする前後。舞祭組のコンセプトが嫌じゃなくて、(べつに好きなわけでもないけどそこじゃなくて)、その頃の千賀の態度に私は心底ついていけなくなってた。ドリボでの印象も良くなかったってのもある。もう、ほんとギラギラしてて。ギラギラしてるの大事なことだし、そういうところも好きだけど、私はキスマイの千賀健永として活躍してほしいし夢を叶えてほしいのに、一人でどっか行っちゃいそうな。そういうことをしてほしいわけじゃなかった。
この頃、私ははっしーにゾッコンもいいところで、そこと比較していたのもある。グループで大きくなりたいというはっしーの思いの健気さに惹かれていた。
千賀についていけないと思った。ドリボの時のダンスでそうなんとなく思わされて、そっから舞祭組デビューに向けて増えていく露出での千賀の態度とか、あの急なイベントでのファンへの自分の安売りさが、痛々しかった。そこまでして売れたいのかって思った。たしかに売れなきゃできないこともあるよ。でも、あなたのそのやり方は正しくない。ちょっとこわい。そう思った。
でも、舞祭組デビュー直後、キスマイとして初めての京セラ公演があって。そのオーラスのトリプルアンコでスノドを歌って踊った時、まるでレッスン着みたいな服装で踊られたからかもしれないけれど、とても等身大の千賀を見せられた気がして。終わった後、私の中で時が止まった。どんどん痩せて小さい身体になっていく千賀くんは、ただの野心家ではなく、繊細な心を持っていること。私はダンスのことなんて全然わからないけれど、音に合わせて動く指先や足が、私に千賀くんはたしかにここにいる人なんだと認識させた。
この人と無縁になるわけにはいかないと、なぜか思った。でも、もうこれ以上千賀を好きになることはないんだろうなって思ったのもやっぱり事実だったと思う。なんかもう降りるのも面倒だった。


2014年、夏。ツアー初日。場所はキスマイも初めて訪れたナゴヤドーム。千賀の地元。私は一人で、アリーナの花道前にいた。期待より不安が大きかった。降りなかったことを後悔したらどうしようと不安だった。また、いつかみたいに死んだ顔だったらどうしようと不安だった。

そんな不安はOPで消えた。もう、出てきた時から本当に本当に嬉しそうで、幸せかみしめた笑顔で、もう、恐竜の赤ちゃんみたいに白い歯をイーーーって見せてて。それが愛しくてたまらなくって。赤い衣装もかわいいし、なんて素敵だろうと思った。

はけて、わけわかんないVTRの後、わけわかんない設定で宮田が出てきて、ああたぶんこれからダンス曲やなと察して、ぼんやりわけわかんない宮田の言葉を聞きながら待機してた。あっ、宮田はけたわ。って、思ってたら、メインステージ、真ん中に、一人だけ、姿が見えて。この瞬間のことは今思い出しても頭真っ白になる。声にならない悲鳴をあげたと思う。キャップを深めにかぶった千賀くんが、音に合わせて踊り始めた。周りもとても静かで、あんなにたくさんの数の人が、千賀くんただ一人を見つめていた。長い一瞬だった。私はほとんど震えていたと思う。そしてその直後立てなくなってしまった。

もう、十分だった。公演中何度も好きでよかったと思った。やっぱり私はキスマイのコンサートで、キスマイの千賀健永として輝くのを見ていたいと感じた。
公演ももう終わってしまうなぁと満たされた気持ちと寂しい気持ちで、遠い背中を追っていた。千賀くんは、なぜか振り返り、こちらの方を向くとこっちに向かって走ってきて、止まった。べつに私のためにここまで来たなんて思わなかった。なんとなく空いているところに走ってきただけだろう。ドームだから、手を伸ばしたって届かない距離。でも、目が合ったのがわかった。ほとんど賭けだった。ぶさいく承知で、できるだけ大きく口を開けて「お」「か」「え」「り」と呟いてみた。自分の口を見られているという緊張感はひどかった。身体が熱くて死ぬかと思った。千賀があのくしゃぁって顔になった。
「ただいま」
地元の名古屋で、ドームでコンサートができたこと。どれだけ千賀は嬉しかっただろう。私は自分のことのように嬉しかった。

もうこれ以上好きにならないと思ってたのに、好きは更新されてしまった。


今、私は最新のアルバムを聞きながら次のツアーを待っている。聞いて気づいたのは、聞こえてくる藤ヶ谷や北山の歌声を心地よいと思い始めている自分がいること。前から歌がうまい人達とは思ってた。うまいなって思うことはよくあった。でも、今回はその歌声が私の耳に馴染んだ。随分前から知っているような歌声。ライバルだと思っていたキスマイは、もう自分の、私の中に入ってきたんだと思った。べつに私はグループ厨じゃないし、千賀以外のメンバーには疎いけど、アルバムの曲を聞きながら、たしかに自分の身近に感じた。
この曲の、この北山のパート、千賀はたぶんこういう顔してるなぁ。この曲の一番のサビ前、千賀はたぶんこういう顔してるなぁ。
見てもないのにわかる気がした。
自分は随分千賀を知るようになったなぁって思う。いつの間にこんなことに。もっと、遠くの一人だったのに。

嘘か本当かわからないけど、恋は三年で終わると聞く。たしかに、恋というよりは愛に近い感覚で彼を見ているんじゃないかなって思う。
でも、私は未だに千賀がふいに見せる表情や言葉にぐっと惹きつけられてしまう。時々、それは何よりも新鮮に私の目に映る。
早くまた会いたい。瞳を見て、声を聞いて、全身で千賀を感じて、その瞬間を、その日を、そこから始まる明日も、大切にしていきたい。

自己分析で「いい意味ではちょっと落ち着いたと思う。でも、いっぱいいっぱいの方が自分らしいなって思う」なんて言ってから約一年経ったけど、あなたはそれを意識してその均衡を保って来れましたか?早くツアーでそれを私は知りたいです。
やっぱりね、ギラギラしてる千賀とか、一生懸命な千賀が私は好きだから、そこは変わらないでほしい。たとえ、また、私が担降りを考えた頃のように千賀くんがすごい勢いで進んでいきそうになったって、今度はそれに怯えず、理解して、笑えると思うから。そういう風に受け入れられるくらいこっちはもうあなたへの好きを確信したから。

千賀くんの考えた振り付けとか、千賀くんが作った曲たちが、もっとたくさんの人に見せれるようになって、知ってもらえるようになって、かつ、たくさんの人の心を動かせるように。
頑張ってね。頑張ろうね。
末永くあなたのペースに付き合っていきたいです。どうか、私の永遠の人になって。